【練習のコツも紹介】16ビートを習得して、リズムの幅を広げよう!

レッスン
  • 「8ビートを叩けるようになったし、もっとリズムの幅を増やしたい!」
  • 「8ビート以外に基本となるパターンは何があるんだろう?」

8ビートで曲を演奏できるようになったあなたは、きっとこんな風に思っているのではないでしょうか。リズムの幅を広げたいという気持ちは、あなたがドラムに夢中になっている素晴らしい証拠です。

とはいえ、「次に何を習得すれば良いか分からない」と感じるのも、また自然なことです。

そんな疑問に対する1つの答えが、、今回ご紹介する「16ビート」です。

私自身、講師として多くの方にドラムの楽しさを伝える中で、16ビートの習得がドラマーにとってどれほど重要かを感じてきました。16ビートを身につけることで、あなたのリズム表現は格段に豊かになり、演奏できるジャンルも飛躍的に広がります。

本記事では、16ビートについて以下のことを紹介します。

この記事を読んで分かること
  • 16ビートの基礎知識
  • 16ビートを習得するメリット
  • 16ビートの効果的な練習方法とポイント

この記事を読むことで、あなたは16ビートの基本を理解し、具体的な練習ステップを通じて、着実にスキルを身につけることができるでしょう。

16ビートの世界へ飛び込み、あなたのドラム演奏を新たなレベルへと引き上げましょう!

16ビートとは

16ビートとは、4/4拍子の1小節の中で、ハイハットを16分音符で刻むリズムパターンのことです。

例えば、基本的な8ビートではハイハットを8分音符で8回刻みます。8ビートに対し、16ビートではその倍の細かさである16分音符で16回ハイハットを刻むことが特徴です。このハイハットの刻みが細かくなることで、ビート全体に軽快さや疾走感が生まれ、ファンクやR&Bなど、幅広い音楽でその魅力を発揮します。

重要なのは、バスドラムやスネアドラムの基本的な配置は8ビートと共通していることが多いという点です。例えばバスドラムは1・3拍目の拍頭、スネアドラムは2・4拍目の拍頭に叩くとします。8ビートではハイハットを8分音符で叩きますが、16ビートは16分音符で叩きます。つまり、8ビートと16ビートの違いはハイハット音数だけであり、ビートの骨格はそのままに、ハイハットの刻みを細かくすることで、ノリが大きく変化することが16ビートの最大の特徴と言えるでしょう。

16ビートは、叩き方によって大きく2種類に分けることが出来ます。

16ビートの種類
  • 両手でハイハットを叩く16ビート(オルタネート奏法)
  • 片手でハイハットを叩く16ビート(ワンハンド奏法、片手16ビート)

両手でハイハットを叩く16ビート(オルタネート奏法)

16ビートを演奏する際の代表的な手法の一つが、両手を使ってハイハットを叩く奏法です。「オルタネート奏法」なんて呼ばれることもあり、右手と左手を交互に使ってハイハットを「チキチキ…」と刻む方法です。譜面は以下になります。

16ビートと言えばまずこの両手でハイハットを叩く奏法を習得しましょう。なぜなら、最も演奏機会の多い、16ビートの基本スタイルだからです。

オルタネート奏法は、片手で叩くよりも速いテンポに対応しやすいというメリットがあり、アップテンポな楽曲でよく用いられます。ただし、両手で叩くという奏法の特性から、慣れないうちはハイハットをスネアドラムを叩くみたいに強くで叩いてしまいがちです。ハイハットの音が大きくなりすぎるとビート全体のバランスが崩れるため、音量をコントロールする配慮が必要です。

片手でハイハットを叩く16ビート(ワンハンド奏法、片手16ビート)

もう一つの主要な手法が、片手(通常は利き手)だけでハイハットを16分音符で刻む奏法です。「片手16ビート」「ワンハンド奏法」と呼ばれることもあります。譜面は以下になります。

こちらは、比較的ゆっくりとしたテンポの楽曲、例えばバラードなどで、リズムの隙間を埋めて滑らかなグルーヴを生み出したい場合によく使われます。手順はシンプルですが、片手だけで16回の刻みを続けるため、利き手の持久力コントロール、そしてある程度のスピードが求められます。

このように、16ビートには大きく分けて2つの叩き方があり、曲のテンポや雰囲気に合わせて使い分けることで、表現の幅が大きく広がります。

16ビートを練習するメリット

16ビートの練習は、単に新しいリズムパターンを覚えるだけでなく、ドラマーとして総合的なスキルアップに繋がる多くのメリットがあります。

演奏可能なジャンルが増える

16ビートを習得することで、あなたの演奏可能な音楽ジャンルは格段に広がります。ロックやポップスはもちろんのこと、ファンク、R&B、フュージョンなど、16分音符が主体となるリズム音楽に挑戦できるようになります。これらのジャンル特有のグルーヴを体感し、表現できるようになることは、ドラマーとしての大きな武器となるでしょう。

非利き手の強化につながる

特に両手で叩くオルタネート奏法は、非利き手の強化に非常に効果的です。普段は補助的な役割が多い非利き手をハイハットの刻みに積極的に使うことで、左右の音量差や、タイミングのズレをなくそうと意識が向きます。結果として、非利き手側のコントロール力が向上します。

持久力、タイムキープ力の向上

16分音符という細かい音符を安定して刻み続ける練習は、あなたのタイムキープ能力を飛躍的に高めます。手数を多い16ビートを叩き、一定のテンポをキープし続けることは体力的にも負荷のかかることです。ですが、16ビートを安定的に演奏できるようになれば、自然と持久力も鍛えられ、演奏の安定感が大きく向上します。16ビートを習得し、16分音符を正確に維持し続けることが出来るようになれば、8ビートのような他のビートを叩いた時にも安定感が増します。

16ビートの具体的な練習方法

それでは、具体的な練習方法を解説します。ここでは、最も基本的なパターンを用いて、段階的に練習していきましょう。

1.両手16ビートの練習方法

まず、最も基本的な両手を使った16ビートの練習方法です。手順は右手と左手を交互に動かすオルタネートになります。大きく分けて2つの練習方法があります。

ハイハット、スネア、バスドラムを段階的に加える練習方法

  1. ハイハットだけ練習する

まずは両手で「チチチチ・チチチチ…」とハイットだけを16分音符で均等に叩き続けます。音の粒が揃っているか音量は一定になっているかを確認しながら練習しましょう。

  1. バスドラムを入れる

 次に、ハイハットを叩きながら、1拍目と3拍目の頭でバスドラムを踏みます。右手のハイハットとバスドラムが完全に同時に鳴るように意識してください。

  1. スネアドラムを入れる

 最後に、スネアドラムを加えます。2拍目と4拍目の頭でスネアを叩きます。ここがポイントですが、オルタネート奏法では、2拍目と4拍目の頭に来るハイハットを叩くはずだった利き手をスネアに移動させて叩きます左手はハイハットを刻み続けます。この右手の動きに最初は戸惑うかもしれませんが、何度も挑戦することで、動きに慣れ、自然と出来るようになります。

1拍ずつ練習する

上記のコンビネーションが難しいと感じる場合は、1拍ずつに分解して練習するのが非常に効果的です。

  • 1・3拍目の練習

「ド・チ・チ・チ」という動き(バスドラ&右手ハット → 左手ハット → 右手ハット → 左手ハット)だけを、ゆっくり何度も繰り返します。

  • 2・4拍目の練習

「タ・チ・チ・チ」という動き(スネア(右手) → 左手ハット → 右手ハット → 左手ハット)だけを繰り返します。

このように分解して練習し、それぞれの動きがスムーズにできるようになったら、繋げて1小節を叩いてみましょう。

片手16ビートの練習方法

次に、片手16ビートの練習方法です。利き手だけでハイハットを刻む16ビートですが、基本的な練習方法は両手で叩く16ビートと変わりません。

ハイハット、スネア、バスドラムを段階的に加える練習方法

  1. ハイハットで16分音符を刻む

 まずは右手だけでハイハットを16分音符で均等に叩き続けます。手首を柔らかく使い、力みすぎないように注意しましょう。

  1. バスドラムを入れる

 次に、ハイハットを叩きながら、1拍目と3拍目の頭でバスドラムを踏みます。右手と右足のタイミングを完璧に合わせることが目標です。

  1. スネアを入れる

最後に、2拍目と4拍目の頭でスネアを叩きます。右手はハイハットを休むことなく刻み続け、左手は2拍目・4拍目でスネアをいれましょう。右手の音符が細かいので、スネアドラムを叩くときに窮屈に感じるかもしれませんが、ゆっくりから余裕をもって叩けるようになるまで繰り返し練習しましょう。

1拍ずつ練習する

こちらも、1拍ずつに分解して練習してみましょう。

  • 1・3拍目の練習

 「ド・チ・チ・チ」という動き(バスドラ&右手ハット → 右手ハット → 右手ハット → 右手ハット)を繰り返します。

  • 2・4拍目の練習

「タ・チ・チ・チ」という動き(スネア(左手)&右手ハット → 右手ハット → 右手ハット → 右手ハット)を繰り返します。

片手16ビートは、手順こそシンプルですが、右手のテンポキープ力と、手足それぞれタイミングを合わせることが重要になります。焦らず、ゆっくりとしたテンポで確実にできるようになるまで反復練習しましょう。

16ビートを練習する際のポイント

16ビートをより効果的に習得するために、以下のポイントを常に意識して練習しましょう。

必ずメトロノームを使う

ゆっくりなテンポからメトロノームに合わせて練習しましょう。16ビートは音数が多いため、無意識にテンポが遅くなってしまったり、逆に叩くことに必死になり過ぎて、テンポが速くなってしまいます。正確な16分音符のノリを体に染み込ませるためにも、必ずメトロノームは使いましょう。

音量バランスを意識する:

16ビートを演奏する中で、特に両手でハイハットを叩く場合、ハイハットがうるさくなりがちです。ハイハットはあくまで16分音符のノリを感じさせるに過ぎません。ハイハット以上にビートとして重要な音になる、スネアやバスドラムの音をしっかりと聴かせるために、ハイハットは意識的に小さな音で叩く練習をしましょう。

演奏中は気づきにくいリズムのヨレや音量バランスの悪さを客観的に確認するために、録音して自分の演奏を聞き返すことは非常に有効な手段です。自分の演奏を聴き返し、課題を見つけ、改善することで理想的なビートが手に入ります。

脱力する

16分音符はその名の通り、常に16分音符を演奏することとなるため、手数が多くなります。手数が増えると、どうしても体に力が入りがちになり、疲労を感じやすくなります。力が入っている時こそ、体のどこに力が入っているかを確認し、なるべく力が入っている部位をリラックスさせることを心がけましょう。脱力を意識することで、スティックの跳ね返りを活かすように叩くことができるようになっていきます。リラックスして演奏する感覚が身に付けば、疲れにくいだけでなく、綺麗な音で演奏できるようになります。

ポイントとして3つ挙げましたが、上達への一番の近道は「楽しむこと」です。特に16ビートは軽快なリズムでは、ノリ良く叩くことが大事です。少しずつでも良いので、16ビートが出来るようになったら自分を褒めてあげましょう。出来たという達成感を感じることで、練習はどんどん楽しくなり、上達への意欲を高めてくれます。

実際に曲に合わせてやってみよう

基本的なパターンが叩けるようになったら、実際の楽曲に合わせて演奏してみましょう。まずは、あなたの好きな曲の中を選びましょう。この時、可能なら16ビートが使われている曲が望ましいですが、あなたの好きな曲でも全く問題はありません。最初はテンポがゆっくりめの曲を選ぶのがおすすめです。

取り組みやすい16ビートの曲例
  • Official髭男dism「Pretender」
  • Suchmos「STAY TUNE」

まずは、この記事で紹介した基本の16ビートだけで良いので、曲を流しながら、その曲のテンポに合わせて、ハイハット、スネア、バスドラムを叩いてみましょう。完璧じゃなくても問題ありません。 最初から曲のテンポにぴったり合わなくても、途中でズレてしまっても、止まってしまっても大丈夫です。まずは、音楽に合わせて16ビートを刻み、16分音符のノリを感じることが何よりも重要です!

16ビートを叩くことに慣れてくると、いつもの叩いている8ビートのノリとはまた違う、ハイハットの「チキチキ」と刻む音が、あなたに高揚感をもたらしてくれるはずです。その高揚感こそ、ノリを感じられている証拠になります。

16ビートを叩くことに慣れてきたら、拍の頭にクラッシュシンバルを入れてみたり、小節の最後にフィルインを入れて、より実践的な練習をしましょう。そうすることで、より曲を演奏していると実感でき、練習も楽しくなります。詳細は以下の記事を参照願います。

まとめ

16ビートは、8ビートをマスターしたドラマーが次に取り組むべき、非常に奥深く、そして表現力豊かなリズムパターンです。今回ご紹介した両手・片手の叩き方を理解し、ポイントを意識して練習に励むことで、あなたのドラムパターンの幅が広がることでしょう。

大切なのは、一つ一つのステップを確実に、そして楽しみながらクリアしていくことです。16ビートが叩けるようになれば、あなたの演奏できる音楽の幅は驚くほど広がり、ドラムを叩くことが今よりもっと楽しくなるはずです。

スティックを握って、今日から16ビートの世界に飛び込んでみましょう!あなたのドラマーとしてのビートは、まだまだ可能性に満ちています!

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