【かっこいいフィルインを増やすために】休符移動を練習しよう!

レッスン
  • 「初めて曲をコピーするけど、休符交じりの音符をどうやって叩けば良いか分からない…」
  • 「ドラムのフィルイン、なんだかいつも同じようなパターンになっちゃうんだよな…」
  • 「教則本に載っている休符混じりのフレーズ、どうも上手く叩けない…」

ドラムを叩いているあなたなら、一度はこのように感じたことがあるのではないでしょうか?フィルインのバリエーション不足や、休符の攻略に悩んでいませんか?休符が入ると途端にリズムが不安定になったり、どのように叩けば良いのか分からなくなったり…。それは、多くのドラマーが通る道です。

私自身、長年ドラムを演奏し、講師として生徒さんと向き合う中で、フィルインに対する悩みをたくさん見てきました。その解決策として重要な基礎練習が「休符移動」です。

この記事では、あなたのフィルインの引き出しを増やしたり、休符付きのフィルインをどのように叩くか身体にしみ込ませたりする練習である、「休符移動」について、解説します。

この記事を最後まで読み、練習に取り組むことで、あなたは休符を恐れることなく自在に操れるようになり、独創的なフィルインを生み出すことや、休符入りのフィルインをスムーズに叩けるようになるでしょう。そして何より、ドラムを叩くことがもっともっと楽しくなるはずです!

さあ、一緒に「休符移動」を学び、あなたのドラムプレイの幅を広げましょう!

休符移動とは

「休符移動」とは、ある決まったリズムパターンの中から、特定の音を意図的に「休符(おやすみ)」にし、その「休符の位置」をずらしながら練習するエクササイズのことです。例えば、16分音符を「タタタタ」と4つ叩くところを、1つ目を休んで「ウタタタ」(ウが休符)にしたり、2つ目を休んで「タンタタ」(ンが休符)にしたり…といった具合です。

何より大切なのは、「休符も演奏の一部である」という意識を持つことです。休符は単なる「お休み」ではありません。音が出ている部分と同じくらい、あるいはそれ以上に重要な「無音の音符」であり、音楽に緊張感やダイナミクス(緩急)を生み出すために有効な表現なのです。休符を正確に感じ、コントロールできるようになること。これこそが、休符移動練習の核心と言えます。

以前解説した「チェンジアップ」(音符の細かさを変えていく練習)と並んで、ドラマーにとって非常にメジャーかつ効果的な基礎練習の一つとして知られています。

休符移動を練習するメリット

「休符移動」を練習するメリットを3つ紹介します。

リズム感の強化

休符移動の練習を正確に行うためには、音を出していない休符の間も、頭と体の中で正確にカウントを刻み続ける必要があります。頭の中で休符に対してもリズムを感じられるようになることで、正確なタイム感を養うことが可能です。結果として、テンポキープ力が飛躍的に向上し、演奏全体の安定感が増します。

読譜力の向上 

休符移動の練習では様々な音符、休符が入った譜面を練習することになります。様々な音符に触れることで、休符が混じった音符やフィルイン、リズムパターンに遭遇しても、素早く理解できるようになります。

フレーズ創造力の向上

休符を用いた様々な音符に触れることで、自分でフィルインやソロを考える際にも、「あえて音を抜いてみる」という新しい発想が生まれやすくなります。既存のパターンに頼らない、あなただけのオリジナルフレーズを生み出すきっかけにもなるでしょう。

海外の著名なドラマーたちも、表現こそ違えど「音を出さない時間をいかにコントロールするか」を非常に重視しており、休符移動に通じるトレーニングを推奨しています。

休符移動の具体的な練習方法

休符移動が何なのか、そして練習するメリットが分かったら、実際に練習パッドやドラムセットを使って練習してみましょう!具体的な練習方法として、16分音符と3連符の休符移動を紹介します。

なぜ16分音符と3連符の休符移動を練習するのか

16分音符と3連符での休符移動の練習が他の音符にも応用しやすいからです。

例えば、16分音符で休符の位置や長さを正確に捉える感覚を養えば、その感覚を基にして、16分音符2つ分に相当する8分音符の休符移動にも応用可能です。同様に、例えば3連符での休符移動練習は、その倍の密度を持つ6連符での休符感覚を掴むのに直接役立ちます。6連符を3連符2つ分と捉え、どこを休符にするか考えるといった応用が出来ます。

16分音符の休符移動

ここからは、最も基本的な16分音符を使った休符移動のパターンを具体的に見ていきます。1拍は16分音符4つで成り立っています。

休符が1つ

1拍(16分音符4つ)の中に休符が1つ入るパターンは、以下の4通りです。

  1. 16分音符の1つ目に休符(ウタタタ)
  2. 16分音符の2つ目に休符 (タンタタ)
  3. 16分音符の3つ目に休符 (タタンタ)
  4. 16分音符の4つ目に休符 (タタタン)

まずはこれらのパターンを、それぞれ1小節ずつ、または数小節ずつ繰り返して練習しましょう。

必ずメトロノームに合わせて練習を行い、休符を「ウ」や「ン」と声に出したり、頭で数えたりしながら、ゆっくり正確に叩くことから始めてください。

休符が2つ

次に、1拍の中に休符が2つ入るパターンです。これは全部で6通りあります。

  1. 16分音符の1つ目と2つ目に休符(ウウタタ)
  2. 16分音符の2つ目と3つ目に休符(タウウタ)
  3. 16分音符の3つ目と4つ目に休符 (タタウン)
  4. 16分音符の1つ目と4つ目に休符 (ウタタン)
  5. 16分音符の2つ目と4つ目に休符 (タンタン)
  6. 16分音符の1つ目と3つ目に休符 (ウタウタ)

休符が2つになると、無音の時間が長くなるため、より集中して休符を感じる必要があります。練習の難易度は上がりますが、これができるようになると、リズムの安定感が格段に増します。

休符が3つ

1拍の中に休符が3つ入るパターンも考えてみましょう。これは、音が1つだけ残るパターンで、4通りあります。

  1. 16分音符の4つ目だけ鳴らす(ウウウタ)
  2. 16分音符の3つ目だけ鳴らす (ウウタン)
  3. 16分音符の2つ目だけ鳴らす(ウタウウ)
  4. 16分音符の1つ目だけ鳴らす (タウウウ)

ここまでくると、ほとんどが休符なので、残った1音を正確なタイミングで叩くのが非常に難しく感じられるかもしれません。しかし、たくさんの休符を感じる練習こそ、究極のトレーニングとも言えます。

3連符の休符移動

16分音符に慣れたら、次は3連符での休符移動に挑戦しましょう。3連符については以下の記事を参照願います。

休符が1つ

1拍(3連符3つ)の中に休符が1つ入るパターンは、以下の3通りです。

  1. 3連符の1つ目が休符 (ウタタ)
  2. 3連符の2つ目が休符 (タンタ)
  3. 3連符の3つ目が休符 (タタン)

16分音符とは異なる「3つの割り」の感覚を掴みながら、同様に休符を意識して練習しましょう。

休符が2つ

1拍の中に休符が2つ入る(つまり音が1つだけ残る)パターンは、以下の3通りです。

  1. 3連符の3つ目だけ叩く(ウウタ)
  2. 3連符の2つ目だけ叩く (ウタウ)
  3. 3連符の1つ目だけ叩く(タウウ)

これも3連符の正確な位置で1音だけを鳴らす、高度な練習になります。

練習のポイント

休符移動の練習をより効果的に進めるために、常に以下のポイントを意識してください。

メトロノームを使い、ゆっくりしたテンポから始める

メトロノームを使い、最初はBPM60~80程度のゆっくりとしたテンポから始めましょう。 正確なテンポキープをしながら、一つ一つの音と休符を正確に感じられるように練習すると効果が増します。完璧にできるようになったら、少しずつテンポを上げていきましょう

休符を声に出したり、頭の中で意識する。

「ウタタタ」や「タンタタ」のように、休符が入る部分を「ウ」や「ン」にすることで、どこが休符かを明確に意識しましょう。意識するためには実際に「ウタタタ・ウタタタ…」等と声を出すという方法も効果的です。声に出したり頭の中で意識することで休符の長さが曖昧にならず、演奏が安定します。

休符部分でスティックを空振りしてみる

「どうにも休符を上手く感じることが出来ない…」という人もいると思います。講師としてレッスンする中でそのような生徒さんも沢山見てきました。その時に解決策となるのは、まずは休符部分で「空振り」をしてみることです。空振りをすることで音は出ませんが、実際の動きが止まることは無いので、身体でリズムを感じることが出来ます。徐々に休符のリズムに慣れてきたら、休符で動きを止める方法に移行していきましょうを

実際にフレーズを作ってみよう

さて、休符移動の基礎練習で様々なリズムパターンが体に染み付いてきたら、いよいよそれを応用して、フィルインを作ってみましょう!

例えば、16分音符系の休符移動を組み合わせると、以下のようなフィルインが作れます。

さらに、作ったフィルインをタムやフロアタムに振り分けることで、以下のようなフィルインを作ることも可能です。

大切なのは、「休符移動で身につけたリズムの断片を、自由な発想で組み合わせてみる」ということです。最初はぎこちなくても構いません。色々なパターンを試していくうちに、きっと「お、これカッコいいじゃん!」という瞬間に出会えるはずです。

まとめ

今回は、「休符移動」という基礎練習について、その定義から具体的な練習方法、そして応用までを詳しく解説してきました。

休符移動は、一見すると地味で根気のいる練習に思えるかもしれません。しかし、その効果は絶大です。休符を正確に感じ、コントロールする能力は、リズム感の向上、グルーヴの安定、そして何よりも音楽的な表現の幅を大きく広げてくれます。

「休符を制する者は、リズムを制す」と言っても過言ではないと、私は信じています。

今日ご紹介した練習方法を参考に、ぜひ毎日の基礎練習ルーティンに「休符移動」を取り入れてみてください。最初はゆっくりと、一つ一つの休符を丁寧に感じながら。そして、少しずつで良いので、継続していくこと。その積み重ねが、必ずやあなたのドラミングを新たな次元へと引き上げてくれるはずです。

ぜひ楽しみながら「休符移動」に挑戦してみましょう!あなたのドラムプレイが、より自由に、より創造的になることを心から応援しています!

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