- 「憧れのあのドラマーのように、素早い連打を繰り出したい」
- 「手は動くのに、どうしても足がついてこない。」
- 「ダブルを踏もうとすると、音が揃わずに違和感がある。」
ドラムを練習している中で、このように悩んだことはありませんか?
手を使うスティックワークに関しては多くの情報があり、練習パッドで手軽に取り組めます。しかし、フットワークについては日本の住宅事情もあり、満足に練習できずに悩みが解消しないという人も多いのではないでしょうか。
私はドラム講師として多くの生徒さんと向き合う中で、このバスドラムのダブルに苦戦する姿を何度も見てきました。しかし、バスドラムのダブルは正しく身体を操作することが出来れば、誰でも習得可能な技術です。私自身、根気強く指導することでバスドラムのダブルを踏めるようになった生徒はたくさんいらっしゃいます。
そんなドラム講師である私の知見のもと、この記事では、バスドラムのダブルについて徹底解説します。
- バスドラムのダブル奏法とは
- スライド奏法のやり方
- ヒール・トゥ奏法のやり方
- どの奏法にも共通するダブルを習得する上で大切なポイント
- バスドラムのダブルを習得するメリット
- バスドラムのダブルを習得するための効果的な練習
バスドラムのダブルをマスターすることで、あなたが演奏できる曲の幅はグッと広がります。ぜひこの記事をヒントに、バスドラムのダブルストロークを習得するヒントを掴んでください。
バスドラムのダブル奏法とは
バスドラムにおけるダブルストロークとは、「1回の足の動作で2回の音を出す」テクニックのことです。
「2回足を動かせば、2回音が出るのでは?」と思うかもしれません。しかし、速いテンポでバスドラムを2打叩こうと思った時に、脚全体を2回上げて踏む方法では間に合わない時があります。このように素早いテンポでバスドラムを2回叩く時は、脚全体だけでなく、足首の動きを組み合わせることで、1回の足の動きで2回の音を出すことが可能になります。
主に「スライド奏法」と「ヒール・トゥ奏法」の2つの奏法がある
1回の足の動きで2度の音を出すこのバスドラムのダブルについて、世界中のドラマーに広く採用されている代表的な奏法が2つ存在します。
それが、足を前後させる「スライド奏法」と、かかととつま先を使う「ヒール・トゥ奏法」です。どちらが優れているというわけではなく、それぞれに特徴があります。重要なのは、それぞれの特性を理解し、自分がやりやすい方法を選択することです。
どちらの奏法にも共通する大切なポイントがあります。2つの奏法を完全に違う動きと捉えることなく、大切なポイントは一緒であると理解しておくことが大切です。
スライド奏法とは
スライド奏法は、フットボード上で足を滑らせるように動かすことで2打を生み出すテクニックです。フットボールの手前から奥側へ足をスライドさせるような動きになることがこの奏法の語源になります。
スライド奏法のやり方
1打目の踏み方
足を少し手前に引きながら、足首を使ってジャンプするように1打目を踏みます。この時、ペダルを踏んだ直後にビーターを押し付けないことがポイントです。ペダルのビーターが戻ってくるように、リラックスして足を動かしましょう。
2打目の踏み方
ペダルのビーターが戻って来る様子を感じながら、手前に引いた足を元のポジションに戻すように足を少し前に移動させます。リバウンドにより戻ってきたビーターをもう一度バスドラムのヘッドに当てるために、前に移動させた足を着地するイメージでペダルをもう一度踏むことで、2打目の音を鳴らします。
1打目を踏んだ後、力を加えてしまうと、ビーターが戻ってこず、2打目の音が弱くなったり、出したいタイミングで音を出しづらくなったりします。ビーターが戻ってくるリバウンドを足の裏で感じることが大切です。
スライド奏法によるバスドラムのダブルの特徴
スライド奏法はその奏法の構造上、主に踏み込む動作をする2打目に大きい音が出る傾向にあります。自然なアクセントがつく事でノリを出しやすいという側面もありますが、その一方で音を均一に揃える事が難しい奏法でもあります。
ヒール・トゥ奏法とは
ヒール・トゥ奏法は、その名の通り「かかと(ヒール)」と「つま先(トゥ)」をシーソーのように使って2打を叩くテクニックです。
ヒール・トゥ奏法のやり方
1打目の踏み方
まずは足全体でペダルを踏みます。この時、足全体の重みを乗せるように「落とす」感覚が重要です。この時、足全体でペダルを踏み込み、ビーターをバスドラムに押しこまないように気を付けます。足首をリラックスさせて、1打目を鳴らし終わった後もビーターが戻ってくる感覚を意識することが重要です。
2打目の踏み方
1打目のリバウンドでビーターが戻ってくるリバウンドを感じたら、足首のスナップを利かせ、つま先で戻ってきたペダルのボードをもう一度踏み、2打目を鳴らします。
2打目を打つ際につま先に力を加えようと力んでしまうと、足首も固まってしまい、結果的に2つ目の音が弱くなってしまいます。あくまで足首やつま先は自然な状態を保ち、戻ってきたフットボードを自然に押し返すイメージで2打目を鳴らしましょう。
ヒール・トゥ奏法によるバスドラムのダブルの特徴
1打目に足全体で踏み込み、2打目で足首のスナップを利かせて音を出す奏法です。異なる2つの動きが行われるため、動きと音を自分でも把握しやすく、音量と音粒をコントロールしやすいのが特徴です。
音量と音粒をコントロールしやすいメリットがある反面、1打目の踏み込みの際に力んでしまうと2打目の音が弱くなる傾向にあります。特に初心者の方は1打目にしっかりと踏み込んでしまい、2打目の音が小さくなってしまう傾向にあるので、2打目の音に注意を払って練習しましょう。
どの奏法にも共通するダブルを習得する上で大切なポイント
あなたがスライド奏法を使ったとしても、あるいはヒール・トゥ奏法を覚えたとしても、お互いに共通して重要なポイントがあります。どちらの奏法を選ぶにしても、以下の3つのポイントを念頭に置いて習得することで、上達スピードが変わります。
1打目で足を踏み込まずにリバウンドを使う
足のダブルがうまくいかない最大の原因は、1打目でビーターをヘッドに押し付けてしまっていることです。ペダルを押し付けてしまうと、ヘッドからのリバウンドを感じることができません。結果としてビーターが上手く戻って来ずに、2打目の音がおろそかになってしまいます。
1打目を打つ瞬間、力を込めるのではなく、自然な足の動きを意識し、ペダルが足裏に吸い付いて戻ってくる感覚を感じながら、ビーターが戻ってくるように心がけましょう。
バスドラムの踏み方としてオープン奏法とクローズ奏法がありますが、1打目に関してはオープン奏法を使うことを意識して踏んでみましょう。オープン奏法については以下の記事を参照願います。
1打目と2打目の音を揃える
スライド奏法では「1打目が弱く、2打目が強い」という状態になりやすく、反対にヒール・トゥ奏法では「1打目が強く、2打目が弱く」なりがちです。もちろんこれが音楽的な味になることもありますが、意図的にコントロールできるようにする必要があります。
練習の時は、「音量」と「リズムの間隔」が均等になっているかを常に耳で確認しましょう。耳だけに頼るのではなく、スマートフォンで自分の足元を録画し、ビーターの振り幅や音量を確認したり、音を録音するのも良い方法です。録音・録画を活用することで、客観的に自分を見つめなおすことでき、上達を早くなります。
1打目と2打目の間のタイミングをコントロールする
1打目と2打目のタイミングをしっかりテンポに合わせるように練習しましょう。例えダブルが素早く踏めたとしても、テンポに合っていなければ、どこかいびつな演奏になってしまいます。1打目と2打目をひとまとめの動きとしていますが、動かし方はそれぞれ独立しています。速いダブルになったとしても、1発1発、丁寧に適切なタイミングで音を鳴らすことでグルーヴが生まれます。
バスドラムのダブルを習得するメリット
「わざわざダブルを習得しなくても、ツインペダルを使えばいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、バスドラムのダブルストロークを習得するメリットはたくさんありますし、バスドラムのダブルストロークはドラマーとしての必須スキルです。
演奏の幅が広がる
シングルペダル1つで、3連符や16分音符の裏打ちを含んだ複雑なキックパターンを演奏できるようになることで、ファンクやR&Bなど、グルーヴが重視されるジャンルでの表現力が格段に向上します。リズムパターンだけでなく、フィルインでもダブルを織り交ぜる事が出来ると、より多彩な表現が可能になります。
フットワーク能力の向上することで、演奏全体に安定感が出る。
バスドラムのダブルを練習することで、ペダルのリバウンドコントロール、足首の柔軟性、そして体幹のバランス感覚を養うことが出来ます。結果として、普通に1発バスドラムを鳴らすだけだとしても、音量やタイミングのコントロールをより楽に行うことが出来ます。フットワーク能力が向上することで、四肢の独立性も強化され、結果的に上体も安定し、ドラム演奏全体の安定感が増すことも大きなメリットです。
バスドラムのダブルを習得するための効果的な練習
私がレッスンで実際に推奨している効果的な練習方法は以下の2つになります。
サンバキック
最も実践的かつ効果的な練習法が、「サンバキック」のリズムパターンです。譜面は以下になります。
サンバキックを練習するメリット
サンバキックを行う事で、裏の位置からバスドラムを踏む練習にもなります。スタート位置が裏からになることで、2発目が表に来ます。リズムを感じやすい表に2発目が来ることにより、ダブルの2発目により意識を向けることが出来ます。自然とダブルの2発目のタイミング、音量に気を遣えるようになり、バスドラムのダブル上達に繋がります。
リズムの切り替え練習
16分音符を2打踏むフレーズと、3連符を2打踏むフレーズを行き来する練習です。譜面は以下になります。
リズムの切り替え練習を行うメリット
16分音符を2打踏むフレーズと3連符を2打踏むフレーズでは、バスドラムのダブルのタイミングがそれぞれ異なります。音符と音符の間の長さが変わるので2打目を鳴らすタイミングもシビアに調整しなければなりません。1打目を鳴らすタイミングも裏から始まるのか、3連の間から始まるのかで異なります。異なるタイミングのダブルを交互に行うことで、タイミングをコントロールする能力が飛躍的に向上します。
まとめ
バスドラムのダブルストロークは、一朝一夕で身につくものではありません。しかし、バスドラムのダブルを習得することで、あなたの演奏の幅は一気に広がります。
スライド奏法でもヒール・トゥ奏法でも、基本的に大事なことは変わりません。不要な力を抜きながら、根気強くタイミング・音量が揃うまで練習あるのみです。
まずは焦らず、ゆっくりとしたテンポから始めてみましょう。
「これだ!」という感覚が掴めたとき、あなたのドラミングは劇的に変わるはずです!そのタイミングに出会えることを心より願っております。



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