- 「憧れのあのドラマーのように、ダブルストロークを交えた滑らかなフィルインを叩きたい」
- 「ダブルストロークを練習していても、上達する気配が感じられない…。」
- 「ダブルストロークの練習って何から始めたら良いのか…。」
ドラムの練習に励む中で、このように思ったことはありませんか?特にダブルストロークは、多くのドラマーが直面する壁の1つです。出来ないことに悩み、「自分には才能が無いのでは…」と思うこともあるかもしれません。
実際に私はドラム講師として、ダブルストロークに苦戦する多くの生徒さんと向き合ってきました。確かにダブルストロークは一朝一夕で身に付くスキルではありません。しかし、練習するポイントを押さえて継続的に取り組めば、必ずコツは見つけられるようになります。
この記事では、ドラム講師としての私の知見を基に、ダブルストロークについて徹底的に解説します。
- ダブルストロークとは
- ダブルストロークを習得するメリット
- ダブルストロークのやり方
- ダブルストロークを練習する際のポイント
ダブルストロークを習得することで、あなたの演奏の幅はグッと広がります。さらに、ダブルストロークを習得することで副次的に様々なメリットがあることもわかるでしょう。この記事をヒントに、ダブルストロークを習得するヒントを掴めたら幸いです。
ダブルストロークとは
ダブルストロークとは、その名の通り「1回の腕の振りで、2回の音を出す奏法」のことを指します。ダブルストロークの本質は「打面からの跳ね返り(リバウンド)のコントロール」にあります。
初心者のうちは「気合で2回叩く」と考えてしまいがちですが、それでは速度に限界が来ます。上級者は、1打目の反動を利用し、そのリバウンドを使って2打目を叩くという、効率的な動きを行っているのです。
通常、私たちがドラムを叩くときは「1回振って1回音を出す」という奏法をシングルストロークと言います。
主な使用場面
ダブルストロークは、単なる基礎練習のための技術ではありません。実際の演奏において、あらゆる場面でその真価を発揮します。
パラディドルなどのルーディメンツ
ドラムの基本言語とも言えるものに「ルーディメンツ」というものがあります。ダブルストロークもルーディメンツの1つですが、このルーディメンツを練習する際に、ダブルストロークは数多くの場面で使われています。
ルーディメンツとは、スネアを中心に発達してきたドラムの基本手順の集合体のようなものです。ダブルストロークを始め、フラムやパラディドルなど、ドラムを演奏する上で欠かせないフレーズがたくさん載っていますので、ぜひ一度チェックしてみましょう。
手数の多いフィルインや、リズムパターンの色付け
32分音符や6連符などを使用した音数の多いフィルインや、リズムパターンに色付けとして32分音符などを使う際にダブルストロークを交えて演奏することがとても多いです。特に32分音符のような音が詰まった音符はゆったりとした演奏の中でも強力な見せ場にもなりますし、グルーヴも作り上げてくれます。
シングルストロークでは無理のあるタムやシンバルを交えた移動系のフレーズ
タムやスネア、シンバルを行き来する、シングルストロークでは少し無理のあるフレーズも、ダブルストロークを使うことで対処できる場面もあります。実際のフレーズをよく聞いたり、譜面を見たりして、ダブルストロークに置き換えられるところは置き換えて見ることで、演奏が格段に楽になる可能性があります。
ダブルストロークを習得するメリット
「頑張ってシングルストロークのスピードを上げれば、それで十分では?」と思う方もいるかもしれません。しかし、ダブルストロークの習得は、単に「1度の腕の動きで2回叩けるようになる」以上の、計り知れない恩恵をあなたのドラミングにもたらします。
シングルストロークの質も向上させる
ダブルストロークの練習を通じて「リバウンドを利用する感覚」を養うことは、シングルストロークの質を改善することにも繋がります。ダブルストロークを習得する過程で、リバウンドを扱う意識が養われると、普段意識していない手や腕の力みにも自然と目が行きます。結果として、シングルストローク時の無駄な力みが排除され、シングルストロークのスピード上限も自然と引き上げられます。
シングルストロークのスピード向上もメリットですが、余分な力みが無くなることによって音質も向上します。綺麗な音でシングルストロークを叩けるとそれだけで説得力が増しますので、ダブルストロークとシングルストローク両方バランス良く練習しましょう。
出来る手順が増える
ダブルストロークが出来るようになると、今までの右左を交互に繰り返すシングルストロークの手順から解放され、様々な手順を繰り出せるようになります。例えばアクセントの音を右手で出しながら、ノンアクセントの音を左手のダブルストロークで埋めていくといった音楽的なアプローチも可能です。
手順が自由になることで、セット全体をより自由に扱うことができ、あなたのドラムソロやフレーズはより歌心のあるものへと変化するでしょう。
シングルストロークとは違ったニュアンスを出せる
シングルストロークとダブルストロークではたとえ同じ音符を叩いたとしても、聞いた時の質感が全く異なります。
例えばスネアドラムで16分音符を叩いた時に、シングルが1発1発の音が分離した、アタック感が強めな音になります。これに対し、ダブルストロークで16分音符を叩いた時は、スムーズで流れるような音になります。シングルストロークとダブルストロークを使い分けることが出来れば、場面場面に即したストロークを使い分けることができ、表現の幅が広がります。
脱力が身に付きやすい
ダブルストロークは、1打目を叩いた時にしっかり脱力をし、リバウンドを利用して2打目の音を出します。奏法の性質上、ダブルストロークは習得プロセスそのものが「脱力」のトレーニングに繋がるのです。
余分な力みを抜くことが大事なドラムという楽器ではとても大切です。ダブルストロークを習得する過程で身に付けた脱力の感覚は、ダブルストロークを使う時のみならず、ドラム全体に好影響を与えます。
高速のフレーズにも対応しやすくなる
1回の腕の振りで2打を叩くことが出来るため、ダブルストロークに慣れることが出来れば、シングルストロークで叩くよりも速いテンポで叩くことができます。
例えばジャズなどでよく聞く高速のフィルインにはシングルストロークも数多く使われていますが、ダブルストロークも多用されています。ダブルストロークを身につけることで、高速フレーズへの対応力も広がるのです。
ダブルストロークのやり方
ダブルストロークの具体的な奏法の解説をしていきます。大切なことは力まず、力を抜いてリバウンドを感じることです。
1打目:力を抜き、1打目をヒットした時に中指・薬指、小指が開く状態を作る
1打目は通常のシングルストロークのように腕の重みを使ってスティックを振り下ろします。シングルストロークと決定的に違う点は、打面に当たる瞬間に「指が開く」ことです。
スティックを握りしめていると、指が固まったままになってしまいます。結果として、打面からのリバウンドを殺してしまい、スティックが思ったように跳ね返ってきません。指に力を込めず、リバウンドの赴くまま、スティックの動きと連動して指が勝手に開く状態までリラックスすることで、自然なリバウンドを感じることが出来ます。
よく指を開けば良いと誤解されますが、ただ指を開けば良いという訳ではありません。自然とスティックと指が連動している状態では、中指・薬指、小指は常にスティックに触れ続けている状態になります。
常にスティックと指が触れていることで、跳ね返ってくるスティックの感覚を指が捉え続けることができます。結果、自分のイメージとスティックが連動してくれることになり、コントロール力の向上になります。
2打目:1打目に開かれた指を、スティックと連動して閉じ、2打目を打つ
1打目のリバウンドで跳ね上がってきたスティックを、中指・薬指・小指を使って跳ね上げるようにして2打目を鳴らします。この時、手首も軽く上げると良いでしょう。
初心者の方は指を閉じることに意識が向きがちですが、指を完全に閉じてしまっては力みが生じ、高速化する時の障壁になります。あくまで自然な腕の上下の中で指が勝手に開閉するイメージを持ちましょう。
ダブルストロークを練習のコツ・ポイント
理屈は分かっても、実際にやってみると「なんか思っていたのと違う…」となります。練習する際には以下の4つのポイントを意識しましょう。
2打の音量を揃える
ダブルストロークのよくある症状としては、リバウンドを利用する性質上、どうしても2打目が弱くなりがちです。この課題を克服するためには2つの方法があります。
まず検討してほしいのは1打目を小さく叩くことです。2打目の音量感に合わせて1打目をコントロールすることで、音量の揃ったダブルストロークを習得できます。
2つ目の方法は2打目にアクセントを置くという意識を持つことです。「タン・タン」と均等に打とうとするのではなく、「タン・ダン!」と2打目を強く打つ意識を持つことで、結果として均等な粒立ちに聞こえるようになります。
ダブルストロークの1打目を小さく、2打目にアクセントを置くという練習方法もあります。以下、譜面となります。
ダブルストロークの2打目にアクセントを付けることで、2打目の音量を大きくする意識が自然と働きます。この練習を行うことで、結果的にダブルストロークの1打目と2打目の音量差が少なくなります。
左右の手の差をなるべく無くす
多くの人は利き手の方が器用なため、右手と左手で出す音のバランスが悪くなる傾向にあります。これを解消するには、「非利き手から始める練習」を重点的に行うことが効果的です。
利き手を手本にし、その動きを非利き手が真似出来るように練習しましょう。非利き手が上図に動く限界のテンポで練習するという事もとても大事です。
シングルストロークの左右の音量差を無くす時にも「非利き手から始める練習」はとても効果的です。左右のバランスを整えることがドラム演奏においてはとても重要ですので、この「非利き手から始める練習」はあらゆる場面で効果を発揮します。
1打目でしっかりとスティックを跳ねさせ、リバウンドを感じる
1打目を打つ際にスティックを握り込んでしまうと、打面からのリバウンドを感じることが出来ず、2打目の音がどうしても小さくなってしまったり、スムーズに2打目に移行することが出来なくなってしまいます。腕全体をしっかりとリラックスし、スティックの動きを制限せず、自然なリバウンドを感じる事が重要です。自然とリバウンドを感じ、指が開閉する動きを感じることが出来れば、おのずとダブルストロークも習得できるでしょう。
ゆっくりしたテンポから始める
ダブルストロークは高速フレーズで使われることが多いので、ついつい速いテンポで始めたくなるかもしれません。しかし、ここはグッと我慢して、まずはBPM 60程度の非常にゆっくりしたテンポから始めましょう。最初はシングルストロークを2回叩くみたいなイメージでも構いません。徐々にテンポを上げ、「1回の腕の動きで2回音を鳴らす」ことを身体に覚え込ませましょう。ゆっくりのテンポから覚えた身体の動きは、高速化した時にも必ず役に立ちます。
まとめ
ダブルストロークの習得は、一朝一夕に成し遂げられるものではありません。数週間、あるいは数ヶ月かかることも珍しくない技術です。出来ないからと言って、焦る必要はありません。時にはテレビを見ながら、練習パッド等で練習するなど、ながら練習をするのも良いでしょうか。
練習を続ける中で、いつか「あれっ?なんか良い感じになっている!」と感じる日が必ず来るはずです。継続して努力することこそが上達の1番の近道です。
この記事があなたのダブルストローク習得の一助になれば幸いです。ダブルストロークを習得し、あなたのドラムライフがより一層広がることを、私も心から応援しています。


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