【シングルストロークを速くする!】ストーンキラーを練習しよう!

レッスン

「もっと速く、もっと正確にシングルストロークを叩けるようになりたい!」

ドラムを始めたあなたが、そう感じるのは自然なことです。しかし、練習してもなかなか思うように上達せず、速さの壁にぶつかっているのではないでしょうか。

もっと速く叩けるようになりたいという想い、私にも痛いほど分かります。ドラム歴20年の私ですが、シングルストロークの高速化が出来ずに何年も悩みました。そして講師となった今も、多くの生徒さんが「速く叩けない…。」と悩みを持っているのを目の当たりにします。

そこで、この記事ではシングルストロークのスピードとコントロールを劇的に向上させるための代表的な基礎練習、「ストーンキラー」について徹底解説します。

この記事を読めば、ストーンキラーとは何か、なぜ効果があるのか、そして具体的な練習方法まで分かります。ストーンキラーが何かを理解し、日々の練習に取り組むことで自身の成長を実感し、ドラムを叩くことの楽しさを再発見できるでしょう。

ストーンキラーは、あなたのドラミングを確実に次のレベルへと引き上げてくれます。さあ、一緒にその扉を開きましょう!

ストーンキラーとは

ストーンキラーとは、主にシングルストローク(スティックを左右交互に一打ずつ叩く奏法)の持久力、スピード、そしてコントロール力を高めることを目的としたエクササイズです。字面だけ見ると地味な練習に思えるかもしれません。確かに、とても地味な練習ですが、その効果は絶大です!

多くのプロドラマーも日々のウォームアップやトレーニングに取り入れています。

ストーンキラーの名称の由来

この「ストーンキラー」という少し物騒な(?)名前、気になりますよね。これは、この練習法を考案したとされるジョージ・ローレンス・ストーン氏の「ストーン」と、その練習内容の過酷さから「キラー」という言葉を組み合わせたものと言われています。

ストーンキラーに実際に取り組んでみると分かりますが、腕への負荷も高く、最初に取り組むときは疲れを感じるかもしれません。

ストーンキラーはまさに、「ストーン氏が考案した、腕に優しくないけど効果は絶大な厳しい練習」という意味合いで、ドラマーたちの間で広く認知されているのです。

ストーンキラーの歴史的経緯

ストーンキラーのルーツは、20世紀初頭から中盤にかけて活躍したドラム教育者、ジョージ・ローレンス・ストーン氏にあります。彼は非常に高名なドラム教則本『Stick Control for the Snare Drummer(スティックコントロール)』の著者として知られており、ストーンキラーはこの『スティックコントロール』から派生した練習方法とされています。

ストーン氏は、スティックのリバウンド(跳ね返り)を最大限に活かす「グラッドストーン奏法」の開発にも関わった人物です。ストーンキラーを練習する際にリバウンドを活かすことが重要とされているのは、このグラッドストーン奏法を習得するためという側面もあります。

ストーンキラーを世に広めたのは、伝説的なジャズドラマー、ジョー・モレロ氏です。モレロ氏は、若い頃にストーン氏に師事し、このエクササイズで自身のテクニックを磨き上げました。そして、1983年に出版した自身の教則本『Master Studies』の中でストーンキラーを紹介したことで、世界中のドラマーがこの練習法を知ることとなったのです。

以来、ストーンキラーはドラム基礎練習のスタンダードとして確固たる地位を築き、今日に至るまで多くのドラマーの技術向上に貢献し続けています。

ストーンキラーを練習するメリット

では、なぜストーンキラーがシングルストロークを速くするためにこれほど効果的なのでしょうか。主に以下の3つのメリットが挙げられます。

1.左右の手を均等に鍛えられる 

ストーンキラーは、右手と左手を交互に、かつ同じ回数だけ集中的に使う練習です。両手を使うことで、利き手だけでなく、苦手意識を持ちやすい非利き手もバランス良く鍛え上げることができます。シングルストロークのスピードは、結局のところ「遅い方の手」の限界に左右されてしまいます。ストーンキラーで非利き手を徹底的に強化することで、両手の均一性が高まり、結果としてストロークのスピードが飛躍的に向上するのです。

2.持久力が強化され、ドラムプレイの安定感が増す

ストーンキラーは反復練習が肝です。長時間にわたりスティックを動かし続けることで、持久力が向上し、プレイ全体の安定感が増します。このドラムに必要な持久力をストーンキラーを練習することで鍛えることが出来ます。

例えばあなたがドラムで1曲演奏するとしたら、3分~5分程度は止まらずにプレイするでしょう。この5分間を安定して叩き切るために、持久力はとても大切な要素です。

3.脱力とフォーム改善が身に付く

長時間、そして高速でスティックを振り続けるためには、力任せのフォームではすぐに限界が訪れます。しばらくは練習していても「すぐに疲れてしまう」と思うことでしょう。しかし、練習を続けていくうちに、スティックをリラックスして握り、肩や腕の余計な力みを抜き、リバウンドを最大限に活かす感覚が、自然と身体に染み付いていきます。正しいフォームと脱力が身につけば、少ないエネルギーでより速く、よりスムーズなスティッキングが可能となり、スピードアップと疲労軽減の両面で大きな効果が期待できるのです。

ストーンキラーは、いわば「強制的に脱力を促す練習」とも言えるでしょう。

ストーンキラーを練習することで、これらの要素が複合的に作用します。継続的に練習することで、あなたのスティックワーク、ひいてはドラムプレイを劇的に進化させる可能性を秘めているのです。

ストーンキラーの具体的な練習方法

ストーンキラーの練習方法は非常にシンプルです。片手ずつ、決められた回数の連打を交互に繰り返す、ただそれだけです。

ここでは、ジョー・モレロ氏の教則本『Master Studies』で紹介されている代表的なパターンを基に解説します。

ストーンキラーの譜面

ストーンキラーの練習手順

  1. メトロノームを用意し、テンポを設定する

 まず、必ずメトロノームを使用しましょう。正確なテンポ感を養う上で不可欠です。 最初は無理のない、自分が快適に叩けるゆっくりとしたテンポから始めます。

  1. 4打ずつからスタートする

メトロノームに合わせて、まず右手のシングルストロークを4回叩きます。次に間髪入れずに左手のシングルストロークを4回叩きます。これを1セットとし、指定された回数を繰り返します。50回繰り返すことが推奨されていますが、最初は10回でも構いません。大切なのはフォームを崩さず、正確に叩き切ることです。

  1. 打数を増やしていく

4打ずつのパターンをクリアしたら、次は8打ずつ のパターンに進みます。これも同様に指定回数繰り返します。その後、12打ずつ、16打ずつと進めていきます。

  1. テンポを上げる

全てのパターンを設定したテンポで楽にこなせるようになったら、メトロノームのテンポを少し上げて、再び4打ずつのパターンから繰り返します。1日に3つの違うテンポで行うと良いでしょう。(例:BPM=70,75,80等)

このサイクルを繰り返すことで、徐々にスピードと持久力が向上していきます。

ストーンキラーを練習する時のポイント

ストーンキラーの効果を最大限に引き出し、かつ安全に練習を進めるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ドラム講師の方も、生徒さんに指導する際にはぜひ以下の点を意識してみてください。

1. 正しいフォームと脱力が出来ているか確認する

スピードアップを求めるあまり、力んだまま叩いていては、元も子もありません。最初は難しいかもしれませんが、リラックスした状態を保つことを意識しましょう。スティックの重さとリバウンドを利用して、最小限の力で叩く感覚を養うことが重要です。

特に長時間叩き続けるこの練習で、不要な力みは疲労や故障の原因となります。力みを感じたら、力んでいる部分の力を解放してあげることを心がけましょう。脱力を意識して練習を継続していくことで、「あ、力が抜けてきたかも!」という感覚を得られるはずです。

2. ゆっくりから徐々にテンポを上げる

最初は自分が「絶対に間違えない」「全く疲れない」と感じるくらいのゆっくりとしたテンポからスタートしましょう。そのテンポで、一打一打の音量や音質が揃っているか、リズムが正確か、不要な力が入っていないかを確認しながら丁寧に行います。ゆっくりな状態で正確な演奏が出来なければ、テンポを上げてもどこか不格好な音色になってしまいます。正確な演奏が出来るようになって初めてテンポを上げていきましょう。

3. 左右の音量差をなくす

ストーンキラーを練習する際は、左右の手から繰り出される一打一打の音量を、完全に均一にすることを意識しましょう。特に、利き手の音が無意識に大きくなりがちです。左右の音量さがある状態では両手を合わせてシングルストロークを行った際に、どこかぎこちないストロークとなってしまいます。常に「右も左も同じ音か?」と自問して取り組みましょう。

特に非利き手側はドラマーにとって弱点となりやすい部分です。だからこそ、非利き手側をどれだけしっかりと練習したかが勝負を分けます。非利き手側を練習する際は、より正確にコントロールすることを意識して練習しましょう。

ストーンキラーの応用練習

基本的なストーンキラーに慣れてきたら、いよいよ両手を組み合わせて取り組みましょう。譜面は以下になります。

片手ずつ練習するまでは今までと同じですが、その後に両手を組み合わせてシングルストロークを叩きます。実際にシングルストロークを叩く練習をすることで、より実践を見据えた練習となります。練習するポイントは以下の2つです。

音が均等になるように注意を払う

右手スタートでも左手スタートでも音が均等になるように、音量、タイミングに注意しましょう。両手の音量のバランス、左右それぞれの叩くタイミングを均一にすることで、より洗練されたストロークとなります。

メトロノームをしっかりと聞いてリズムをとる

左右の手を合わせることで音数が多くなります。連打の回数もだんだんと長くなると余裕が無くなり、テンポを見失いがちです。手を速く動かすことも大切ですが、ストーンキラーの練習の本質は、両手のスティックを正確にコントロールすることにあります。叩いた音とメトロノームがしっかり合うようにコントロールすることは常に意識しましょう。

まとめ

今回は、シングルストロークを劇的に向上させるための基礎練習、「ストーンキラー」について詳しく解説してきました。

その歴史から、具体的な練習方法、効果を最大限に引き出すためのポイントまで、ストーンキラーの重要性を感じていただけたでしょうか。

確かに地味で忍耐力のいる練習かもしれません。しかし、この一見単純なエクササイズに真摯に取り組むことで得られるものは、非常に大きいです。単に「手が速く動くようになる」ということだけでなく、スティックコントロールの基礎力が大幅に上昇します。

ドラムの上達に魔法の近道はありません。しかし、ストーンキラーのような正しく効果的な基礎練習を継続することは、確実にあなたを理想のドラマーへと導いてくれるでしょう。

「シングルストロークが速くならない…」と悩んでいるあなたも、この記事を参考に今日からストーンキラーを始めてみませんか?家での練習パッドを使った日々の積み重ねが、数ヶ月後には驚くような変化をもたらしてくれるはずです。

ストーンキラーを通じて、あなたがぶつかっている速さの壁を壊してくれることを期待しています!

コメント

タイトルとURLをコピーしました