クラッシュシンバルやフィルインを用いて、8ビートを進化させよう!

レッスン

この記事を読んでいるあなたは、おそらくドラムの基本的なビートである「8ビート」を一生懸命練習して、ようやく叩けるようになった、そんな段階にいるのではないでしょうか?しかし、どうでしょう。しばらく8ビートを叩き続けていると、

  • 「なんだかずっと同じことの繰り返しかも…」
  • 「曲に合わせて叩いているつもりだけど、なんだか単調に聴こえるな…」

と感じ始めた方もいらっしゃるかもしれません。

もし、あなたが少しでもそう感じているのなら、それは素晴らしいことです!なぜなら、それはあなたが「もっと上手くなりたい」「もっとカッコよく叩きたい」と感じている証拠であり、次のステップへ進む準備ができた、ということだからです。

「じゃあ8ビートの次は、具体的に次は何をすればいいの?」

そんな疑問に、現役のドラム講師の私がお答えします。8ビートをより実践的なものにするために、まず取り組んでみてほしいのが「クラッシュシンバル」「フィルイン」の導入です。この2つを加えるだけで、あなたのドラムプレイは驚くほど実践的となり、一気にドラマーとしての階段を駆け上がる実感が得られるはずです。

この記事を最後まで読むことで、以下の事が分かり、8ビートに彩りが出ることは間違いありません。

  • クラッシュシンバルの役割や、フィルインの定義
  • 具体的な練習方法
  • 好きな曲と合わせた練習の仕方

クラッシュシンバルを使ったアクセントの付け方やフィルインの入れ方を学び、8ビートを1段階進化させましょう!

8ビートの進化方法1:クラッシュシンバルを入れてみる

まずは、ドラムセットの中でも特に目立つ存在、クラッシュシンバルから攻略していきましょう。

クラッシュシンバルとは?

クラッシュシンバルは、ビートを刻む目的のハイハットシンバルやライドシンバルとは別のシンバルです。ドラムセットの中でも少し高めの位置にセットされています。このシンバルは主に、曲の始まりや、AメロからBメロへ移る瞬間、サビに入る直前など、曲の場面が切り替わるタイミングでアクセントとして叩かれることが多いです。詳しくは下記の記事を参照願います。

具体的な練習方法

ステップ1:まずは2小節ごとに入れてみる

いきなり曲に合わせて叩くのは難しいので、まずはシンプルな反復練習から始めます。まずは以下の譜面を見てみましょう。

練習方法
  1. まずは普通に8ビートを叩き始めます。 この時、最初にクラッシュシンバルを入れます。
  2. 8ビートを叩きながら、心の中で「1・2・3・4、2・2・3・4…」とリズムを取ります。
  3. 2小節目の最後まで叩き終わったら、3小節目の1拍目にクラッシュシンバルを入れます。
  4. クラッシュシンバルを叩いたら、すぐにまたハイハットでの8ビートに戻ります。
  5. これを繰り返します。
なぜ2小節ごとなのか?

ドラムを始めたばかりの頃は、長い小節数を正確に数えながら演奏するのは意外と難しいものです。まずは短い周期で繰り返すことで、「クラッシュシンバルを叩く→8ビートに戻る」という一連の動作に慣れることを目的としています。

クラッシュシンバルを叩くことにも慣れてきたでしょうか?では次のステップに移りましょう。

ステップ2:慣れてきたら4小節ごとに入れてみる

2小節ごとにクラッシュシンバルを入れることに慣れてきたら、次は4小節ごとにチャレンジしてみましょう。

練習方法
  1. 8ビートを叩きながら、今度は「1・2・3・4、…、4・2・3・4」と4小節をひとつの塊として数えます。
  2. 4小節目の最後まで叩き終わったら、5小節目の1拍目にクラッシュシンバルを入れます。
  3. クラッシュシンバルを叩いたら、すぐに8ビートに戻ります。
  4. これを繰り返します。
なぜ4小節ごとなのか?

ポップスやロックなど、多くの曲は4小節や8小節を1つのまとまり(フレーズ)として構成されています。そのため、4小節ごとにクラッシュを入れる練習をしておくと、実際の曲の構成に慣れることが出来ます。

クラッシュシンバルを叩く瞬間は、バスドラムも同時に踏むことが多いです。これにより、低音と高音が同時に鳴り、よりパワフルで安定したアクセントになります。しっかりとタイミングを合わせて鳴らしましょう。

8ビートの進化方法2:フィルインを入れてみる

クラッシュシンバルでアクセントをつける感覚が掴めてきたら、次はいよいよフィルインに挑戦です!

フィルインとは?

フィルインとは、「埋める」という意味で、主に曲のセクションの変わり目やフレーズの終わりなどに入れられるフレーズのことです。

AメロからBメロに移る直前や、サビに入る直前などにフィルインを入れることで、曲の展開をスムーズに繋いだり、場面の転換を分かりやすくする役割があります。このフィルインを効果的に使えるようになると、あなたのドラムは一気に表情豊かになり、より「曲っぽく」演奏することが出来ます。

フィルインは「オカズ」とも呼ばれます。8ビートのようなリズムパターンが「主食」と捉えて、対の言葉として「オカズ」と呼ばれると考えられます。現場では「オカズ」の他、「フィル」と略されて言われることも多いので、覚えておきましょう。

具体的な練習方法

フィルインにも無数のパターンがありますが、まずは最もシンプルで基本的なものから始めましょう。焦らず段階的に進めていくことが大切です。

ステップ1:まずは超シンプルなフィルイン(2小節ごと)

クラッシュシンバルの練習と同じように、まずは2小節周期で練習します。

練習方法
  1. 8ビートを叩き始め、「1・2・3・4、2・2・3・4…」と数えます。
  2. 2小節目の4拍目スネアドラム16分音符で「タカタカ」と叩きます。 
  3. フィルイン(タカタカ)が終わったら、3小節目の1拍目で、クラッシュシンバルをバスドラムと一緒に叩きます。
  4. クラッシュを叩いたら、すぐに通常の8ビートに戻ります。
  5. これを繰り返します。
なぜフィルインの後にクラッシュシンバルなのか

フィルインは曲の区切りや転換点で使われることが多いと説明しました。そして、その区切りを示すために、フィルインの直後にはクラッシュシンバルが叩かれることが非常に多いのです。この「フィルイン → クラッシュ → 次のビートへ」という一連の流れをセットで練習することで、より実践的な感覚を養うことができます。

ステップ2:慣れてきたら4小節ごとに入れてみる

クラッシュシンバルの時と同じです。4小節を1つの塊として数え、4小節目の4拍目にフィルインを入れ、5小節目の頭でクラッシュを叩き、そして8ビートに戻る、という流れを練習します。

フィルインに移動を加えてみる

スネアだけの「タカタカ」に慣れてきたら、少しバリエーションを加えてみましょう。ドラムセットには、スネア以外にもタム(タムタム、フロアタムなど)という太鼓がありますよね?これらを使ってみます。

例えば、先ほどの「タカタカ」(16分音符4つ)を、以下のように叩き分けてみます。

例1:スネア→ハイタムを使った場合

例2:ハイタム→フロアタムを使った場合

フィルインで使う楽器を変えるだけで、フレーズの響きや雰囲気がガラッと変わります。最初はぎこちなくても構いません。色々な組み合わせを試して、音色の変化を楽しんでみてください。

少し長めのフィルインにチャレンジする

これまでは4拍目だけを使った短いフィルインでしたが、もう少し長いフィルインにも挑戦してみましょう。

チャレンジ1:2拍(3拍目と4拍目)のフィルイン

2小節または4小節ひとまとまりで8ビートを叩きながら、最後の2拍(3拍目と4拍目)を使ってフィルインを入れてみます。

例:スネア×4発→ハイタム×2発→フロアタム×2発のフィルイン

チャレンジ2:4拍(まるまる1小節)のフィルイン

さらに長く、最後の1小節全体を使ってフィルインを入れてみましょう。

よくあるパターンとして、「スネア → ハイタム → ロータム → フロアタム」と順番に叩いていく、いわゆるタム回しがあります。16分音符でやってみましょう。 

フィルインのパターンは無限にあります。最初は簡単なパターンを確実に叩けるように練習し、徐々に使う音符の種類(8分音符、16分音符など)や楽器(スネア、タム)を増やしていくのが上達への近道です。

曲に合わせてやってみる

さて、クラッシュシンバルとフィルインの基本的な入れ方が分かってきたら、いよいよ最終ステップ、実際の曲に合わせて叩いてみましょう!

どんな曲でも構いません。あなたの好きな曲を用意してください。自分が聴いていてワクワクする曲、叩いてみたいと思う曲を選ぶのが一番です!

そして、曲をよーく聴きながら、以下の点を意識してドラムを叩いてみてください。

  • 曲の始まりにクラッシュシンバルを入れてみる。
  • Aメロ、Bメロ、サビなど、曲のセクションが変わる境目を探す。
  • その境目の直前に、フィルインを入れてみる。 
  • フィルインを入れたら、次のセクションの頭でクラッシュシンバルを叩く。
  • サビの前など、特に盛り上げたい箇所では、少し長めのフィルイン(2拍や1小節)に挑戦してみる。

最初は上手くタイミングが合わなかったり、フィルインの途中でリズムが崩れてしまったりするかもしれません。でも、それで大丈夫です。大切なのは、曲の流れを感じながら、フィルインやアクセントを加えることが出来たという実感を得ることです。

何度も繰り返し曲に合わせて練習するうちに、自然と「ここだ!」というタイミングが掴めるようになってきます。そうなれば、もうあなたは単なる「8ビートを叩けるドラマー」ではなく、「曲に命を吹き込むドラマー」への第一歩を踏み出したと言えるでしょう!

まとめ

今回は、8ビートを習得した次のステップとして、

  1. クラッシュシンバルを使って、曲の節目にアクセントを加える方法
  2. フィルインを使って、曲の展開を繋ぎ、彩りを加える方法

この二つをご紹介しました。

最初は2小節ごと、慣れたら4小節ごと。フィルインはまずスネアの「タカタカ」から始め、タムを使ったり、少し長さを変えてみたり。そして最後は、実際の曲に合わせてこれらの要素を盛り込んでみる。

一つ一つのステップは決して難しくありません。しかし、ただの8ビートにアクセントやフィルインを加えることで、単調なリズムの繰り返しから、生きた音楽表現へと大きく進化します。

今回ご紹介した内容は、ドラム演奏のほんの入り口に過ぎません。フィルインのパターンは無数にありますし、クラッシュシンバルの使い方ももっと多様です。しかし、この「アクセント」と「繋ぎ」の感覚を掴むことが、今後の上達において非常に重要です。

ぜひ、8ビートが形になったら、クラッシュシンバルを叩いてみたり、フィルインを取り入れてみたりしてください。最初はぎこちなくても、焦らず、楽しみながら続けていくことが大切です。

あなたが刻むビートが彩りのあるものに変化することで、もっとドラムが楽しくなるはずです。ぜひ楽しんで続けていきましょう。

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